▽授業概要

2009年の総選挙の結果を分析した2本の論文をもとに、回帰分析などの分析手法およびその結果表の読み方を学んだ。

▼課題文献

(1) 菅原琢「第7章 『振り子』は戻らない―2009年総選挙・自民党惨敗の表層と底流」『署名未決定』, 光文社,2009年(近刊)

(2) 飯田健「『失望』と『期待』が生む政権交代:有権者の感情と投票行動」『寝ゼ政権交代だったのか―読売・早稲田の共同調査で読み解く日本政治の転換』,勁草書房,2009年

▼文献要約

(1)
09年総選挙後、「自民党の小選挙区での踏ん張り」論が唱えられ、「振り子」が戻れば自民党過半数復帰という観測がある。しかし「取り 過ぎ票」の不可逆な流出など三要因から民主党は苦手だった農村の小選挙区で大躍進していた。与党の座を失った自民党に「振り子」は戻 らない。(和田)

(2)
政権交代の一般的理論を有権者の感情を中心に構築した。自民に失望しかつ民主に期待する有権者ほど投票参加及び民主への投票の傾向が 強く、無党派ほどその影響を受ける。それらの感情は行政改革への懸念に起因する。(下郡)

▼質疑応答例

2009年総選挙において、民主党が候補を絞り込んだ(全選挙区に候補者を立てなかった)のは、本当に他党との協力優先したからなのか。

→民主党が出馬しなかった選挙区には他党の候補者が出馬しており、民主党がその候補者に対して推薦等を行っていた、という事実が見受けられる。
民主党が推薦を与えなかった候補者に対しても民主党の支持団体の一つである連合の協力が協力をしていたなど、陰に陽に民主党と他の野党との協力は行われていた、と考えるのが妥当であろう。

▼全体討議

2009年総選挙において、自民党への期待感及び民主党への失望感を抱く個人は、投票と棄権のどちらを選択したのか。

▼今日の授業

解析手法として回帰分析の基礎を学んだが、なかなか難しかった。しかし、分析に際して統計的な手法は不可欠であることを実感した。(川村)