2005年から一転して自民党の敗北となった2007年選挙について、一般的に見られている捉え方を見直し、より深く考えた。
(1) 今井亮佑・蒲島郁夫「なぜ自民党は一人区で惨敗したのか」『中央公論』2007年10月号,pp.190-pp.199,
(2) 菅原琢「第2章 逆小泉神話は本当か?―曲解される2007年参院選の「民意」」『書名未決定』,2009年,(近刊)
(1)
07年参院選における自民党惨敗の理由は、郵政選挙の後遺症や亥年現象があげられるが、1人区という自民党の集票基盤に打撃を与えた小泉構造改革や稚拙な政権運営に対する業績不評価が主要因である。(和泉)
(2)
07年参院選は小泉改革によって疲弊した地方の反乱による自民党の大敗という見方が大勢を占めているが、数値分析を試みると、実際には著名候補の擁立や野党間協力を行った野党の大勝であるというべきである。(四辻)
造反議員の復党で支持率が下がったにも関わらず、なぜ参院選の総括に失敗して改革以前の状態に戻ろうと考えたのか?
→自民党にはいろいろな人がいて、当選回数が多い実力者などは、小泉路線ではダメだと言うから。
今井・蒲島論文では「一人区において示された民意は、まさに「安倍不信任」だったのである」(p.199 中段)と結論づけているが、この「安倍不信任」という結論がどのようなデータ、論理により導かれているか議論し、データは全員復党しても自民党は負ける、ということで、分析を直接はしておらず、消去法的に導かれているのではないかということになった。
バンドワゴンの説明などがなされ、有意義な授業になった。異なる2つの論文を前にして少し戸惑いも見られたが、グループ議論などではいい意見が見られた。(津田)