2005年総選挙を分析した2つの論文を読み、どういう選挙であったかや2005年総選挙の意味を考えた。
(1) 蒲島郁夫・菅原琢「2005年総選挙分析―――自民党圧勝の構図 地方の刺客が読んだ「都市の蜂起」」『中央公論』2005年11月号,2005年,pp.108-118
(2) 菅原琢「第一章 寝た子を起こした?郵政解散―2005年総選挙の意味」『書名未決定』2009年, (近刊)
(1)
「小泉旋風」により、2005年総選挙に自民党が大勝利したのはなぜか。自民党経済成長を進めつつ、都市部から農村に傾斜的再分配する政
治システム―「自民党システム」―に都市部住民の反抗を受け動揺しつつあり、その都度連立をして凌いできた。しかし、小選挙区制の導
入により都市部には多くの議席が配分され、政治的発言力が増して行った。小泉元首相はこの「自民党(システム)」をぶっこわすと宣言して都市部住民の期待を呼んだ。農村での反発はあったものの、都市部無党派層の票を得た上で、1票でも得票の多い候補者が勝利するとい
う小選挙区制の性質もあり勝利した。また、旧自民VS小泉自民の象徴となった造反選挙区に報道が集中し、民主党や他党が陰に隠れたこと
も有効であった。(大坪)
(2)
2005年の郵政解散総選挙で自民党は、都市部という弱点を補った上に小選挙区制の効果もあり圧勝した。従来の自民党ではなく改革を進める政党としての自民党が支持された。郵政民営化をめぐる解散劇により争点が明確化したことで、都市住民、若年・中年層の大幅な動員に成功した。眠っていた有権者の改革志向を起こしたことになる。(津田)
思想/政策が違っても協力はありえるのか
→レベルの問題である。一見するとそうは見えなくても、する価値はあるため、協力はありえる。
両文献で指摘されている自民党圧勝の理由を考えた。また、蒲島・菅原論文の最後の、今後に対する指摘が妥当であるか議論し、妥当であったとはいえないが、ある程度妥当であったのではないかという結論に至った。
ゼミ初回ということで、先生からハンドアウトの書き方など指摘があった。まだぎごちない雰囲気ではあったが、深く議論が行われたときもあった。(津田)