中選挙区制から小選挙区比例代表並列制に変わったことことによる議員活動変化について考察した
「6章 選挙制度改革と政策活動の変化」建林正彦
『議員活動の政治経済学』より(有斐閣、2004年)
「選挙制度改革と自民同議員の政策選考」濱本真輔
『レヴァイアサン』41号より(木鐸社、2007年)
・葉梨や荒井、塚原は族議員ではないか、なぜその特徴がでてきていないのか?
→団体との接触は族議員であっても有力な政治家と認定されれば別分野の団体も接触を持ってくる。(逆に若く実力を認められていたくない政治家はその得意分野の団体でも軽視して接触を持たない可能性もある。)このように作成した図表が正しくなく現実と乖離していることもあるので事前に調査を行い事実確認を怠るべきではない。
・人気部会をすみわけないことが政策選考の拡大につながるか?結局特定部会に集中しているのではないか?
→文献の言わんとしていることは個人の選択が拡大したことである。今までのように同一選挙区の議員との関係からあるが偏るので「限定的拡大」と筆者は述べている。
・自民党はさまざまな政策選考の議員が集まってできていた過去がある。では、「政党としての選択可能な範囲」の拡大とはなにか?
→政党は、個人志向・政党志向の用語使いであり、当首脳部をさしていると考えてよかろう。まよって族議員によって不可能であった政策選択をとる可能性がでてきたということを述べている。
(1) 議員の政策選考の変化については、建林論文では比例区の存在・党への依存から党執行部の強化により、執行部が影響を行使して起こったとされ、他方、濱本論文では小選挙区となったことで議員個人が自由に政策を選考するがために起こったとされている。
(2)前提条件を違う場合、同一のデータでも違う解釈の仕方があることを発見する。たとえば建林の党執行部の強化が図られたと主張する図6-1~5においては、建林自身の指摘にもあるとおり与党間協議の影響は大きく、また2002念は小泉総理のときであり、どうしても党首脳部の強化が目立つ上87年当時とは違い、不況などのより公共事業の見直しなどが図られ、その意味で政調会という期間の働きが評価されない時代背景をもっていることを考えると、このデータだけで結論を急ぐのはよろしくない。他方濱本論文では表2はサンプル数を133と105としているが1年ごと1議員についてカウントしているので同一人物が年ごとに数え上げられる。その分、複数回数えれている議員の特徴が大きく出てくる。また比べている2つについても片方は11年であり、他方は10年である。このようにデータがさししめすものに、気づかないうちに過誤が入り込むため、十分に注意した後に観測せねばならない。
今日は菅原先生の計量政治学者としての授業といえました。データについて厳しいチェックをいれ、手法として批判すべきところは批判し、なぜそのようなデータがでてくるのかか背景を考慮すべきところは考慮する。一方で生徒の画の研究は五里霧中手探り状態といったところです。(鈴木)