▽授業概要

2000年、2003年、2005年の衆議院選挙の結果を分析した3本の論文をもとに、それぞれの選挙を概観しつつ、分析の手法や因果関係のつかみ方を学んだ。

▼課題文献

(1) 蒲島郁夫「地方の王国と都市の「反乱」」『戦後政治の軌跡』, 2004年, pp. 311-328.

(2) 蒲島郁夫・菅原琢「公明がどちらを選ぶかで政権は替わる」『中央公論』2004年1月号, 2004年, pp. 90-99.

(3) 蒲島郁夫・菅原琢「2005年総選挙分析―自民党圧勝の構図 地方の刺客が呼んだ「年の蜂起」」『中央公論』2005年11月号, 2004年, pp. 108-118.

▼文献要約

(1)
2000年総選挙では自民党が小選挙区で健闘し比例区で敗北した。これを分析すると、地方での自民党の強固な支持基盤、都市部での自民党の凋落と民主党の急追、そして第3党、公明党の影響力が浮かび上がってくる。(田中)

(2)
2003年総選挙では民主党が「躍進」し、二大政党制の時代が到来したと喧伝されるが、現状では自民、民主ともに単独では政権を獲得できない。このようななかで、公明の交渉力はより強まり、また共産にとってもあらたな可能性がみえてきた。(北原)

(3)
「刺客」作戦などが話題を呼んだ2005年総選挙だが、都市と地方という観点で分析すると、都市部中心の経済成長の果実を地方に分配する「自民党システム」に対して都市部の有権者が反旗を翻す構図が浮かび上がる。(田中)

▼質疑応答例

2000年総選挙について考える意味はどこにあるか。

→小泉以前の自民党の体質、選挙の構図を知ることで、小泉時代の自民党、選挙の様相をよりよく把握できる。

▼全体討議

「党首効果」が小選挙区、比例区でどう現れるのか考えるとともに、「党首効果」と選挙結果のあいだに因果関係はあるのか検討した。

▼今日の授業

初回ということで、様子を見つつというところはあったが、多彩なメンバーがそろい、時折するどい発言が飛び出すところは、今学期のゼミの盛り上がりを予感させる。(北原)