第7回ゼミ 「政治家と政治資金」 (2008/12/03)

▽授業概要

政治家にまつわる金の動きについて学んだ。

▼課題文献

(1)吉田真一・山本修嗣「第1章 議員を生み出すコスト」佐々木毅・吉田慎一・谷口将紀・山本修嗣編『代議士とカネ—政治資金全国調査報告』, 朝日新聞社, 1999年

(2)福元健太郎「第11章 資金から見た政治的基盤の継承—渡辺美智雄から喜美へ」佐々木毅・吉田慎一・谷口将紀・山本修嗣編『代議士とカネ—政治資金全国調査報告』, 朝日新聞社, 1999年

(3)山口次郎「第12章 ネオ・ニューリーダーをねらう土着政治家、鈴木宗男」佐々木毅・吉田慎一・谷口将紀・山本修嗣編『代議士とカネ—政治資金全国調査報告』, 朝日新聞社, 1999年

▼文献要約

(1)ブラックボックスであり続けた議員生産コストつまり、議員が外部から集めてきた資金の総量の初調査をもとに書かれている。政党ごとの収入構造の詳細な分析や、後援会・資金管理団体・小選挙区支部の役割の解明を資金獲得の観点からのアプローチを行っている。(笹岡)

(2)渡辺美智雄・喜美の親子2代の衆議院議員を例にとって資金から見た政治的基盤の継承を検証した。美智雄の資金管理団体を継承することで豊富な資金と組織を獲得した。そして資金を地方議員や他の選挙区の議員に直接配分することで喜美は父の代からの影響力を継承した。(佐々木)

(3)鈴木宗男について、なぜ一議員にすぎない彼が多額の資金調達を行えるのかを分析したのが本文献である。これによれば、特定の地盤を持たずいわば「たたき上げ」タイプの鈴木は、多方面の人物・団体と交流を行いそこから資金を得、または彼らに提供を行うことで自らの支持者を拡大させなくてはならなかった背景があるという。(西澤)

▼質疑応答例

Q. 北海道で地域名望家が存在せず、名門の御曹司よりも下から這い上がっていく政治家を後押しする気風が存在することと、二世議員が頭角を表すことは矛盾していないか?

A. この場合の地域名望家とは支持者層のことを指していると考えれば差し支えない。

▼全体討議

政治資金の流れや地盤継承について議論した上で、世襲は是か否かをテーマに話し合った。世襲について批判的になる必要はないとの意見が多く見られた。

▼今日の授業

政治資金については仕組みも難しく、読みこなしに苦労していた人もいたようである。今回は鈴木宗男に関して多くの人が見識を深めた。(小室)