第7回ゼミ 「政治資金 」 (2007/11/28)

▽授業概要

不透明だった議員の政治資金の収集について理解を深めた。

▼課題文献

『代議士とカネ―政治資金全国調査報告』 佐々木毅・ 吉田慎一・谷口将紀・山本修嗣編

(日本経済新聞社、1987年)

▼文献要約

 

▼質疑応答例

・後援会は、政治資金管理団体から資金を受け取っているが団体から受 け取っていいのか?→5000万円までなら大丈夫である。

・政治団体間ならなんでもできるなら抜け穴になるのでは?→企業が政 治団体をつくって金の窓口とすることはできないし、企業自体が政治団 体にはなれないので大丈夫だと思われるが。

・選挙運動費用で行えるのは選挙運動のみであろう。では日常の政治活 動費用の「日常の政治活動」とは?→事務所費などだと思われるが。

・p.29「規制は緩い」とは?→後援会は寄付を企業からは受け取れない が、事業収入に規制はない。ならパーティ・出版などがほぼ「寄付」に ちかくとも規制はできないということ。また役員の名義をつかうことも できる。

・「透明性の高まり」は政治資金について心理的圧迫をあたえ、金のか からない政治につながるというが、心理的圧迫?→有権者や報道に睨ま れたくないという心理的圧迫のこと。

・筆者は、後援会は選挙で強い当選回数を重ねた議員が持つという一方 で、後援会を持つ議員は選挙に強いという結論をも出している。→それ は双方向的で、選挙に強くなければまず後援会をつくれないし、後援会 があれば選挙に強くなる、という関係であろう。

・分析1から2でこんなにも分析の有意性に差が出るのは?→サンプル を幅広くとったこと。

・分析2で、お金をかけると得票率が上昇するような結果が出ているが 、これは相関の関係であり因果ではない

▼全体討議

1.民主主義という前提を肯定するならば、金のかかる政治は資本をも っていない人々から政治を遠ざける要因である。また政治は公共物であ ると考えれば、それは公共物の私物化をよぶ。

2.経常経費・選挙活動費・政治活動費の3つにわけられるという。

3.現在、日本政治においてお金を使う政治という文化がある。それゆ えにお金を減らしたところで評価されるわけでなく、選挙で他候補が使 っており使わないことで落選する危惧をも持つのなら、節約するインセ ンティブがない。  対策を練ることは難しいものとなろう。いかほど使うのかスタンダー ドを示したり、選挙資金制限をきちんとチェックすること、政治資金を すべて政党・国を介する、すべて比例選挙にする、など。ただ、みんな で収束した結論を得たわけではない。

▼今日の授業

「政治とカネ」という問題はさんざん議論にさらされてきたものだ。今 回の文献は現在のマスコミの報道に影響を与えているものである。我々 は政治家が実際なにに資金を使っているのか、詳細には知らないがきっ と知る必要があり、知って対策(それは変える・変えないも含め)を議 論せねばならないのかもしれない。 (鈴木)