第2回ゼミ 「 自民党政治と選挙 」 (2007/10/24)

▽授業概要

自民党の選挙を中選挙区制を中心に理解を深めた。

▼課題文献

「第一章 自民党システムの形成」『戦後政治の軌跡』蒲島郁夫

(岩波書店、2004年)

「第二章 選挙制度と政党戦略」『日本政治の経済学―世間政党の合理的選択』マーク・ラムザイヤー、フランシス・ローゼンブルース

(弘文堂、1995年)

▼文献要約

「第一章 自民党システムの形成」

比較政治学的にみると、民主化を進めながら平等な成長を達成することは非常に困難である。しかし、戦後の日本はその二つを両立させた。それは、日本には「支持参加モデル」があったからだ。「支持参加モデル」とは、自民党への支持が政治の安定性と政策の一貫性を保証し、それが経済的な発展とそれにともなう資源の再配分(社会的な平等化)に結びつき、結果として自民党支持が拡大するという好循環のことである。

「第二章 選挙制度と政党戦略」

自民党が結党以来有権者の多数の支持を受け続けてきた理由を、選挙制度が政党の選挙戦略や政策決定に与える影響の面から考察しています。従来の中選挙区制の衆議院選において自民党が採用した利益誘導戦略や、それに基づく政策決定の概要を、外国や他党との比較を交えて論じています。

▼質疑応答例

・日本の農村部有権者はなぜ急激な変化、経済的平等をのぞまなかったのか?→暴動をおこしても仕方ない。他党に投票するメリットもない。

・移動の機会→居住や職業をふくめた社会の流動性 ・教育程度の高さ→論文の流れに沿って、根拠をもってでてきたものでなく、日本を観察したさいの後付的な理由でしかない。

・自民党は結局、経済成長と平等のどちら重視したのか?社会民主主義だったとは思われない→結果として生じたシステムである。経済発展の恩恵をたまたま支持基盤であった農村へ引っ張っていったため。

・貯蓄率→? まあ経済的な観点ではなく、やはり結果をみてからの後付である。

・発展途上国と経済発展→後付てきな観察。ほか途上国に適応できるかわからない。

・野党の「それなりの利益」→自民党の政策に修正を加える。 ・小政党に利益はあるのか→現在はありそうにないね ・地域活動って?(発展)表おかしくね?

・出力過程・入力過程→論文につき物の捨象であるが、ただしい操作とはいえない。語弊をうむ ・公共財と私的財、選好の変化?

▼全体討議

1.生徒:歴史の流れにのってできた自民党の支持参加モデルと弱い野党の存在。有権者が認めた。冷戦構造etc.

菅原:変わっていく情勢のなか(農村人口の減少、都市人口増加)、自民党はその性質から対応するなか、野党(特に社会党)がそれに対応せず、投票に値する野党が存在しなかった。

2.政治資金など他のファクターをみてみると、選挙制度が単独で改革されても現状の個人志向の選挙に変化は生じないだろうと予測できる。

▼今日の授業

自民党の支持参加モデルの話は、やはり先学期参加者にとって既習事項なので彼らが積極的でした。しかしゼミ後の懇親会でなんだか仲良くなれた気がしますので、どんどんメンバー相互の刺激しあいが加速していきますよーにっ!(鈴木)